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阿川佐和子
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撮影 吉原朱美

 これだけの豊かな歴史と文化と技術を有しながら、なぜ、私自身を含めた現代の日本人の多くは、日本人であることへの確固たる自信と誇りを持ち得ないのか。長らく不思議に思っておりました。そして年を重ねるにつれ、それはもしかして自分たちのご先祖様や過ぎ去ったものに対する敬意の心と理解を、いつの頃からか置き去りにしてしまったせいではないかと思うようになりました。国の宝は自分とは遠くかけ離れたもの。それを評価するのは私と関係ないところ。そう思い込んでいるかぎり、『文化財』という言葉にも心が動きません。そうではない。隣国より取り入れ、あるいは諸外国にもおおいなる影響を与えた我が国固有の文化は、この国に住む私たち一人一人が受け継ぎ、守り、育てるべきものなのです。専門家だけではなく、ごく一般の人々の手によって文化が繋がれていけば、そのときこそようやく私たちは自分の依って立つ軸を見い出して、そして未来への日本の道を見つけることができるような気がします。このたびの「とびうめファンド」の試みが多くの日本人をもう一度、元気にし、日本人であることの誇りを取り戻すきっかけになってくれるであろうと、秘かに期待しております。